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校務支援システム導入後にやること~マニュアル作成から成功のポイントまで~

投稿日:2025/06/09 更新日:2025/06/09

導入マニュアル作成のポイント

誰もが素早く正しく理解するためにマニュアルは必須

校務支援システム導入時には、誰もが迷わず操作できる明確なガイドが必要です。

基本操作から応用機能まで段階的に解説したマニュアルやオンラインチュートリアルを用意し、専門知識のない教職員でも直感的に学べるようにします。
例えば画面操作手順を平易な言葉で説明し、図解やスクリーンショットを交えて示すことで、ICTに不慣れな教職員でも安心して活用方法を習得できます。
こうした利用支援策は教職員のICT活用指導力向上にもつながり、校務DXの定着を後押しします。

学校の先生たちの多くはこのようなシステムについて専門的な知識をもっていません。
マニュアルがないと手を出しにくいという人は少なくないですよね。
そんな先生たちに説明するためにも、わかりやすいマニュアルは必要不可欠です。

ユーザーのニーズを考慮した手順書の作成

マニュアルや手順書は学校現場の実際の業務シナリオに沿って作成します。

出欠管理・成績処理・保護者への連絡配信など、校務支援システムが日常的に使用される場面ごとに操作手順を網羅しましょう。
これらの業務は学校間で共通する部分が多いため、内容を標準化しておくことで他校・他地域への展開や教職員の異動時にも対応しやすくなります。

国も出席簿や通知表など校務帳票類の標準化を進めており、各校が共通のフォーマットで運用できるようにすることが重要です。

次にそれぞれの業務においてどのような操作が必要かを詳細に記述します。
単に操作手順を列挙するだけでなく、操作が不慣れなユーザーでも理解しやすいように画面のスクリーンショットやイラストを活用し、分かりやすく説明します。
さらに、予期しない問題やトラブルが発生した場合の対処方法もあらかじめ手順書に含め、ユーザーが困った際にすぐに対応できるようにします。

明確な手順と具体的な例の記載

操作手順を明確にして実際の利用シーンを想定した具体的な例を記載すれば、ユーザーの理解をより促進できます。
そうすることで、ユーザーは実際の操作方法を具体的にイメージできるようになります。

特に、スクリーンショットによる画面の提示は具体的で非常にわかりやすいものになります。
Microsoft PowerPointなどを使って、スクリーンショット上に枠線や矢印を使って手順を示すことで、誰にとってもわかりやすい操作の案内をすることが可能です。

Point:スクリーンショットはショートカットで簡単に行うことができます。
特に、画面全体ではなく画面の一部を即座に記録することができるショートカットを活用することをお勧めします。

ショートカットキー

Windowsの場合:[Windows]+[Shift]+S
Macの場合:[Shift]+[command]+[4]

ユーザーフィードバックの収集と改善

マニュアルは一度作成して終わりではありません。
実際にシステムを使用しているユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、マニュアルの内容を定期的に更新していきます。
ユーザーからの質問や不明点を収集し、それらを解決するための情報をマニュアルに追加することでより使いやすいリソースへと進化させていきます。

このように各セクションに対して具体的な内容を検討し、ユーザーが直面する可能性のある問題を解決するための情報を提供することが校務支援システム導入後にやるべきことの中心になります。

導入後の使い方を成功させるためのポイント

教職員への研修

校務支援システム導入の成功には教職員に対する十分な研修が欠かせません

操作方法の習得に向けて計画的な研修プログラム(初期講習とフォローアップ研修)を実施し、全教職員が段階的にスキルを身につけられるようにします。
基本的な出欠入力や成績処理など日常業務の操作から始め、徐々にデータ活用機能など高度な操作にも慣れさせます。
また、ICTに不慣れな教職員には個別サポートや反復練習の機会を用意し、自信を持ってシステムを使えるよう継続支援します。

文部科学省も全教員を対象にICT研修を毎年受講させる目標を掲げており、研修の徹底は校務DX推進の重要な要素です。

カスタマイズ

校務支援システムは各校の実情に応じた設定変更が可能ですが、同時に業務の標準化にも留意する必要があります。

例えば、自校で特によく使う機能(出席管理・成績管理・連絡機能など)をトップメニューに配置するなどのインターフェース調整によって日常業務の利便性を高められます。
一方で帳票レイアウトや項目定義といった根幹部分は標準仕様から大きく逸脱しないようにします。

国の調査でも各自治体でシステム仕様が異なると教職員の人事異動時に負担となることが指摘されており、また帳票類の過度なカスタマイズはデータ互換性を損ない転校生徒の情報引継ぎに支障を来すケースが多いとされています。
そのため基本的なデータ形式や帳票様式は文科省が推奨する標準に沿った形で運用し、地域内でもできるだけ統一することが望ましいです。
これにより他校とのデータ連携や教職員の異動時の円滑な対応が可能になります。

サポート体制とトラブルシューティングフローを準備

問題が発生した際に迅速に対応できるよう、サポート体制の整備とトラブルシューティングのフローを事前に準備することも重要です。

まず、一般的に予測される問題については詳細なFAQ(よくある質問)セクションやトラブルシューティングガイドを用意し、教員だけでなく生徒もできる限り自己解決できるようサポートします。
このガイドは具体的な操作手順や画面イメージを含め、ユーザーが問題解決のステップを直感的に理解できるように工夫していくことが重要です。

また、トラブルシューティングのプロセスを明確にするために問題の発生から解決までのフローを事前に設定します。
例えば、問題が発生した際にはユーザーが最初に行うべき基本的なチェックリストを提示し、それでも解決できない場合には、企業の専門チームに相談する手順を提供します。

サポート体制の強化は、利用者が問題に直面した際に迅速かつ効率的に問題を解決し、システムの利用を中断させることなく業務を続行でき、担当者のサポートにかかる時間を削減することにもつながります。

継続的な教育と研修

システム導入後も定期的な研修とサポートを継続し、教職員のスキルアップを図ります。
システムにバージョンアップや新機能追加があった際には、その都度操作方法や活用事例を共有する場を設けます。

具体的には、新機能リリース時の説明会開催やマニュアル更新、オンラインヘルプの整備などにより、教職員が常に最新機能を使いこなせる状態を維持します。
また校務DX全体の研修計画を年間を通じて実施し、毎年度すべての教員が何らかのICT研修を受講する機会を設けることが目標です。
これによりデジタル技術の進歩に対応し続け、システムの効果を最大限に発揮できます。

導入後の評価と改善プロセス

導入効果の定期的な評価とレビュー

システム導入後は、当初設定した目的が達成できているか定期的に検証します。
校務の効率化(事務作業時間の削減やペーパーレス化の進展)、教育の質向上(教師が児童生徒と向き合う時間の確保)などの観点で効果を測定しましょう。

例えば、紙で行っていた作業がどれだけデジタル化されたか、職員室外でも校務がこなせるようになったかといったKPIを確認します。

政府も「FAXや押印の廃止」「手書き・転記作業の一掃」など明確なDX達成目標を掲げており、各校においてもそうした指標をもとに効果をレビューすることが重要です。

改善点の特定とアップデート計画の策定

評価結果を踏まえて、システム運用の改善計画を策定します。
教職員から上がった要望や現場で生じた課題を整理し、必要な機能追加や設定変更を計画的に行います。

例えば、紙で管理していた情報を新たにシステム上で一元管理できるようにする、既存機能で利用が進んでいないものは操作性を改善するといった対応です。

また、現在オンプレミス(校内サーバ)で運用している場合はクラウド環境への移行も検討します。
多くの自治体で従来型の自前サーバ運用が主流でしたが、GIGAスクール時代にはクラウド活用型への移行が不可避と指摘されています。
セキュリティポリシーの見直しやネットワーク環境の整備を行い、場所にとらわれず校務を行える環境へアップデートしていきます。

ステークホルダーとの定期的なミーティングでのフィードバックの共有

学校内外の関係者と定期的に協議し、システム運用状況を共有します。

学校の管理職や教育委員会と進捗状況や課題・成果を報告し合い、課題解決策や更なる活用方法について意見交換します。
特に教育委員会とは緊密に連携し、必要に応じて支援を仰ぎましょう。
国も都道府県単位での校務DX推進を視野に入れており、自治体共同でのシステム整備や運用負担の軽減策が提唱されています。
このため、自治体間・学校間で情報共有し、ベストプラクティスを共有する場を設けることが有益です。
定期的なミーティングを通じて、システムの効果を全関係者で最大化できるよう取り組みます。

導入成功事例の共有とドキュメント化

他校の成功事例や優れた取り組みを積極的に共有し、互いに学び合います。

自校での工夫や得られた成果は資料としてまとめ、校内だけでなく教育委員会や他校とも情報共有しましょう。
他地域の先進事例も参考になります。
文部科学省主催のウェビナー等でも先進自治体のクラウド活用事例や教育データ活用事例が紹介されており、全国的にノウハウを共有する動きがあります。
こうした場に参加したり事例集を参照したりして、自校の運用改善に活かすことができます。

最終的に成功事例の蓄積と展開が、地域全体の校務DXの底上げにつながります。

学校現場では聞きなれない言葉も多いですが、それらを分かりやすく説明することも導入担当の方の大事な役割といえます。
教育関係だけでなく、ビジネス的な思考、知識もこれからの教員には必要な力になりますね。

まとめ

校務支援システム導入後の運用設計を適切に行うことは、学校におけるDXを成功させるカギとなります。

マニュアル整備や研修の徹底、継続的な改善サイクルの実践によって、システムの真の価値が引き出されます。
これにより教職員の校務負担軽減と働き方改革が進み、生まれた時間を児童生徒と向き合う教育活動に充てられるようになります。

校務DXは「教員を煩雑な事務作業から解放し、児童生徒一人ひとりに焦点を当てた指導に時間を割くことに貢献する」とされ、最終的には学校運営の効率化と教育の質の向上に寄与します。
各自治体・学校は国の推進方針に沿って校務DXを定着させ、現場でその効果を実感できる運用を目指しましょう。

著者紹介
ジョー先生 教員

元公立校教員で、ICT担当としての教員歴10年以上。自治体の教育研究会の情報教育部にも所属。校務支援システムは30個以上を現場で比較検討経験あり。教育関連書籍の執筆・出版経験あり