校務システムについて

校務支援システムとは

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校務支援システムとは何か?教務や事務の効率化だけではないメリット・デメリットを解説

投稿日:2025/06/09 更新日:2025/06/09

校務支援システムとは

校務支援システムは学校運営における業務をデジタル化し、効率化するための統合ソフトウェアです。

このシステムは出欠管理、成績管理、授業スケジュールの作成、保護者との連絡、進路指導など、学校内で必要な業務を一元的に管理します。

教職員が業務に費やす時間を短縮し、データの整合性を保ちながら、正確で迅速な処理を可能にしてくれます。

また、これらのシステムは生徒や保護者がアクセスできるポータル機能を提供することも多く、学校と家庭の連携を強化し、開かれた教育環境をサポートしてくれます。

基本的には学校の校務や事務を効率化させるICTツール

校務支援システムは、基本的に教職員の時間と労力を節約することを目的としています。

出席管理、成績管理、時間割作成などの日常的な管理タスクを自動化することで、教員が教育活動により集中できるように支援するICTツールです。

保護者や児童生徒との連絡網や学習支援なども担うプラットフォーム

このシステムは、学校運営のあらゆる側面をカバーするプラットフォームとして機能します。

学校外(保護者等)との連絡、児童生徒情報管理システム、学習管理、資産(備品)管理、スケジュール管理など、複数の機能を一つのインターフェースで提供し、利用者が必要な情報やツールに容易にアクセスできるようにします。

文部科学省も「統合型校務支援システム」を導入することを支援

文部科学省も下記のように提言しています。

「いわゆるゼロトラストの考え方に基づきアクセス制御によるセキュリティ対策を十分講じた上で、校務系・学習系ネットワークの統合を進める必要がある。」

出典:GIGAスクール構想の下での校務DXについて 文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20230308-mxt_jogai01-000027984_001.pdf

校務支援システムは学校内のさまざまなデータとプロセスを統合し、情報の一元管理を可能にします。

教職員はリアルタイムで必要なデータにアクセスし、速やかに正確な判断・処理を行うことができ、結果的に教育活動や児童生徒への指導の質の向上も期待することができます。

長時間労働や無給残業といった「ブラック環境」を是正できる

「ブラック環境」とは、過重労働や非効率な作業が常態化している状況を指します。
校務支援システムは、これらの問題を是正するために導入されることもあります。
作業の自動化や効率化により、教職員のワークライフバランスの改善に寄与し、職場環境を健全なものに変える手助けをします。

校務支援システムによる効率化と統合化は、教育機関全体の運営効率を高め、結果的には教職員および児童生徒にとってより良い教育環境を提供します。

教育の質が向上することは、児童生徒の学習結果の改善につながります。
また、システムの導入により、データに基づく透明性の高い学校経営が可能となり、学校の信頼性や評判を向上させることも狙いとして考えられるでしょう。

校務支援システムでできること

シンプルな出欠管理

出欠管理は日常でもっとも頻繁に活用するものになります。
誰でもすぐに使用できるようなシンプルな設計が多く採用されています。

担任、養護の先生だけでなく、専科の先生や管理職など、ほとんどの教職員が必要とする重要な機能です。

集計入力が容易な成績管理

成績管理はミスや見落としが許されません。
その重大な責任をもつ教職員を、大変な集計・入力作業から開放する役目を担います。

業者の集計ソフトを使っている先生方が多いと思いますが、校務支援システムはそれらのソフトとリンクできるものも多いです。
全てが新しくなるというより、今している業務をより効率的にしていくためのシステムですね。

一貫した連絡網・連絡機能

教員同士、教員と児童生徒、または保護者への連絡が、一つのシステムで一貫して管理できる機能は、とても役に立ちます。

児童生徒が活用できる学習機能

学習記録や活動レポートを管理します。
児童生徒が自分自身の学びを更新し、振り返ることもできるため、自己評価や自己分析に役立てることができます。

勤怠や施設管理などの教員事務機能

教職員の勤務管理、施設や備品などの予約、出張届や休暇の申請など、あらゆる事務的な負担を軽減します。

保健・入試・模試などのさまざまな連携機能

保健室の来室状況や健康診断の管理、受験に関する出願データや学籍情報など、自動で登録された情報をもとに作業の効率化を図ることができます。

教員の業務軽減をサポートしてくれる校務システムですが、実装されている機能は多岐にわたります。
これらは代表的な機能ですが、ここで紹介されていない機能も検討して、実態に合わせてカスタマイズしていく進め方がベーシックですね。

連絡網ツールとの違い

連絡網ツールはあくまで連絡を送るだけの道具

連絡網ツールは、主に情報共有と緊急連絡の迅速化に焦点を当てたコミュニケーション支援ツールです。
一方で、校務支援システムは学校運営の多様な側面をカバーする統合型プラットフォームです。

通知表や指導要録などの横断的な帳票管理ができる

児童生徒の情報管理として、児童生徒の個人情報、出席情報、成績などを管理します。
そして、児童生徒の評価や成績を記録し、レポートを作成することができます。

また、それらと連動して通知表や指導要録などの帳票も管理することができます。

学習機能や事務管理など、児童生徒・教員側の機能が充実

校務支援システムは、学校の管理業務全般をサポートする包括的なソリューションであり、学校運営の効率化と管理・判断の向上を目指しています。

その上で、児童生徒にとっても学習支援機能の充実、教員側にとっての校務・事務管理の機能が充実しており、結果として教育環境の質を高めることに貢献しています。

校務支援システムのメリット

学校事務が効率化され大幅に削減される

校務支援システムは日常の事務作業を自動化し、デジタル化することで学校事務の効率を大幅に向上させます。

例えば、出席の記録、成績の入力、報告書の生成などのタスクが自動化されることにより、作業時間が大幅に節約されます。
また、これにより教職員がルーティンワークから解放され、他の重要な業務に集中することができるようになります。

ミスが減り正確な学校運営が可能に

校務支援システムはデータ入力のミスを減らし、情報の一貫性と正確性を保ちます。
同じデータを何度も入力したり転記する必要がなく、一度だけ入力すれば他の部分にも反映されるので、情報の矛盾や重複が排除され、データの正確性や処理の効率が向上します。

この透明性とデータの信頼性は、効率的で正確な学校運営を支える重要な要素です。

教員と児童生徒が本業に集中でき、学習成果も向上へ

事務作業の自動化と効率化により、教員は事務的なタスクから解放され、結果的に教育活動により多くの時間とエネルギーを注ぐこともできるようになります。

教員は児童生徒一人ひとりの学習ニーズに対して、より個別化した支援が可能となり、児童生徒の学業成績の向上に尽力することができます。

また、教員が教育に専念できる環境は児童生徒の学習体験を向上させ、最終的には学業成果の向上へとつながります。

校務支援システムのデメリット

校務支援システムの導入は多くのメリットを提供しますが、いくつかのデメリットや課題も伴います。

導入にあたっては担当人員が必要

校務支援システムの導入には、専門知識をもつスタッフやプロジェクトマネージャーが必要になることもあります。

これらのシステムは複雑であり、適切に設定・管理されなければなりません。
学校に既存のICT部門だけでなく、外部のコンサルタントや技術サポートを雇う必要が生じるかもしれません。
これには追加の人件費や時間が必要であり、特に資源が限られている教育機関にとっては大きな負担となる可能性があります。

導入には、それまでのICT担当だけでは人材不足かもしれません。
校務分掌担当メンバーの増員、もしくは部門の拡大が必要になるケースも想定しておきましょう。

システム利用に一定のコストがかかる

システムの導入と運用にはライセンス料、サブスクリプション料、メンテナンス費用など、一定のコストが発生します。

これらの費用は継続的なものであり、学校の予算計画に影響を与える可能性があります。
また、システムのアップグレードや拡張が必要になった場合、追加の投資が必要になることもあります。

ツールに慣れるまでに教員・児童生徒への支援が必要

新しい校務支援システムの導入は、教職員や児童生徒にとって環境変化の負荷を伴うことも事実です。

全員がシステムを効果的に使用できるようになるまで、十分な経験と時間が必要です。

特に技術に不慣れな教員や児童生徒にとっては、この変化がストレスの原因となることもあります。
慣れには追加の時間とコストがかかり、日常的な教育活動に少なからず影響を及ぼす可能性もあります。

セキュリティのリスクや理解が求められる

校務支援システムは大量の機密データを取り扱います。
児童生徒の個人情報、成績データなどの情報がこれに含まれます。

これらのデータの保護には、適切なセキュリティ対策が不可欠です。
サイバーセキュリティの脅威やデータ漏えいは、システムの安全性に対する理解と継続的な警戒が必要です。

セキュリティ対策の不備は学校の評判や信頼性に悪影響を及ぼす可能性があるため、十分な対策が求められます。

まとめ

校務支援システムは学校運営の透明性を高め、管理の効率化を促進することで、学校全体の教育活動を向上させます。

システムの導入には初期投資と継続的な管理が必要ですが、その利点は教育の質の向上、管理の効率化、そして最終的には学校の教育目標達成に貢献することにあります。

一方でデメリットに対処するためには、コストの管理と効果的な予算計画、十分なトレーニングプログラムの実施、および強固なセキュリティ対策の確立が重要です。
システムの導入前にこれらの課題を詳細に検討し、対策を計画することが校務支援システムの成功を左右するといえます。

著者紹介
ジョー先生 教員

元公立校教員で、ICT担当としての教員歴10年以上。自治体の教育研究会の情報教育部にも所属。校務支援システムは30個以上を現場で比較検討経験あり。教育関連書籍の執筆・出版経験あり