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なぜ学校にDXが必要なのか?校務の課題と校務DXの現状

投稿日:2025/06/09 更新日:2025/06/09

校務DXとは何か

校務DXとは、デジタル技術による学校運営の変革

校務DXは教育分野のDXの中核であり、紙の書類や手作業で行っていた校務をデジタル化することで業務プロセスの効率化と情報アクセスの改善を図ります。

例えばこれまで紙や押印で行っていた各種手続きをオンライン化することで、教職員は煩雑な事務作業から解放され、児童生徒への指導や支援に時間を充てられるようになります。

校務DXを推進することで学校現場では事務作業の効率化や迅速な情報共有が実現し、その結果、児童生徒一人ひとりのニーズに対応するための時間的ゆとりを生み出すことができます。
教職員の業務負担軽減は働き方改革にもつながり、ひいては教育の質向上に資する時間を確保できます。

文部科学省のGIGAスクール構想に基づくICT環境整備

文部科学省が推進するGIGAスクール構想により、全ての児童生徒と教職員に1人1台の端末を行き渡らせ、学校に高速大容量のネットワークを整備する施策が進められました。
このICT環境の整備は教育の土台をデジタル化し、情報格差の解消や学習機会の平等化を目指すものです。

こうした全国的なインフラ整備は校務DXの前提条件ともなっており、整ったICT環境の下で校務システムを活用することで迅速で正確な学校運営が可能になります。

→より詳しい記事はこちら
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_01798.html

校務が直面する課題

アナログで非効率な業務

アナログで非効率な業務学校現場には未だに紙の書類や手作業による非効率な業務プロセスが根強く残っています。

例えば紙の台帳への記録、職員による手動のスケジュール調整、稟議書類の紙回覧と押印などに多大な時間と労力を費やしているケースが少なくありません。
こうした非効率な作業は教職員の業務負担を増やし、本来教育に充てるべき時間を奪っています。

校務DXの推進によりこれらのプロセスを電子化・合理化すれば、事務処理に割かれていた時間を大幅に短縮し、業務効率を高めることが可能です。

過酷な勤務実態

教職員の長時間勤務や業務量過多も深刻な問題です。
慢性的な長時間労働は教員のストレスや疲弊を高め、燃え尽き症候群(バーンアウト)や離職のリスクを高めてきました。

校務DXを通じて業務量そのものを減らし効率化を図ることは、教職員の働き方改革に直結します。
デジタルツールや校務支援システムの導入により業務負担を軽減できれば、教職員の労働環境はより健康的でバランスの取れたものになります。

校務DXは、教職員が安心して働き続けられる職場環境を実現する鍵とも位置付けられています。

セキュリティの問題

校務DXを進めるうえでセキュリティ対策は欠かせません。

教職員や児童生徒に関する個人情報を扱うため、データ漏えいや不正アクセスを防止し、信頼性の高い運用を行う必要があります。

適切なセキュリティポリシーの策定・遵守やアクセス制御の徹底など、安全管理の徹底が校務DX成功の土台となります。

政府もゼロトラストの考え方に基づくネットワーク統合とセキュリティ強化を提言しており、セキュリティ確保と利便性向上の両立が求められています。

学校運営の継続性の確保

校務DXを進めることは、災害や緊急時における学校運営の継続性確保にも寄与します。

校務データをクラウド上で管理・バックアップしておけば、大規模災害時でも重要なデータを保持でき、物理的な校舎にアクセスできない状況でも教職員が教育活動に必要な情報にアクセスできます。

現状では多くの学校で災害時の業務継続計画が十分でないため、校務DXを契機に非常時にも業務を継続できる体制を整えることが重要です。

近年、学校現場の課題は少しずつ解消されつつありますが、一方でセキュリティなど新たな課題も浮上しています。
それらを十分考慮しつつ校務DXを適切に推進していくことが望ましいですね。

校務DXの実現に必要な取り組み

ID管理とアクセス制御によるセキュリティ強化

デジタル化を進める際にはユーザーIDの一元管理やアクセス権限の適切な設定が不可欠です。

利用者ごとにアクセスできる情報を制限し、不正アクセスや情報漏えいのリスクを抑えることで、教職員や児童生徒のデータを安全に取り扱うことができます。

例えば外部からのアクセスには多要素認証を導入するなど、セキュリティとプライバシー保護を強化する対策が求められます。

働き方改革の推進に向けた業務の効率化(業務効率化)

校務DXは教職員の働き方改革にも直結します。

ルーティン業務を自動化し、紙の資料配布を電子共有に切り替えるなど業務フローを見直すことで、教職員は生徒指導や授業準備に充てられる時間を増やせます。
その結果、児童生徒一人ひとりに向き合う時間が確保され、教育の質の向上にもつながります。

成功事例:自治体における校務DXの取組

奈良県「学校DX環境整備ガイドライン」

奈良県では「学校DX環境整備ガイドライン」を策定し、教育現場のICT環境整備と効率的かつ安全な運用の指針を示しています。
これは自治体レベルで校務DXを推進する先進例であり、校務におけるICT活用の標準モデルを提示するものです。

〔機器の調達と運用管理〕

教職員や保護者を交えて端末を選定・共同調達し、現場のニーズに合った端末を導入しています。
これにより学校現場の要求に適合したICT機器を効率的に整備し、無駄のない運用を実現しました。

(参考情報:奈良県の取組に関するニュース記事)
https://www.kknews.co.jp/news/0708n01
https://www.kknews.co.jp/post_ict/20240304_7d

〔データ管理と活用〕

校務に関する各種データを県全体で一元管理し、自治体間でデータを連携・共有できるようにしています。
それにより学校・地域をまたいだ情報共有が円滑化し、教育活動や行政報告の効率化が図られています。

(参考情報:奈良県事例に関するニュース記事)
https://www.kknews.co.jp/post_ict/20240304_7d

〔クラウドサービスの利用〕

教育用クラウドサービスを活用し、教材や資料を複数校で共同利用できるようにしています。
クラウド上で最新の教材を共有・配信することで、教員が常に最新のリソースにアクセスでき、結果的に教育の質の向上にもつなげています。

(参考情報:関連ニュース記事)
https://www.kknews.co.jp/news/0708n01

〔ゼロトラストセキュリティの実現〕

ゼロトラストセキュリティモデルを導入し、学校内外からのアクセスを厳密に管理することによって、情報セキュリティの強化と安全な学習環境の提供を実現します。

(参考情報:KKS Web:教育家庭新聞ニュース|教育家庭新聞社)
https://www.kknews.co.jp/post_ict/20240304_7d

このガイドラインにより奈良県は教育現場のDXを加速させ、すべての児童生徒に対して質の高い教育機会を提供することを目指しています。

詳しい情報は奈良県の公式サイトで確認できます。
※詳細は以下の資料を参照
https://www.city.nara.lg.jp/site/gigaschool/211354.html
https://www.pref.nara.jp/secure/307807/3-2-1.pdf
https://www.e-net.nara.jp/kenkyo/index.cfm/27,7943,c,html/7943/20240606-171511.pdf

想定される具体例

ICT化を推進し、効率的な業務運営を実現する例

多くの学校でICTの導入が進み、その結果として業務効率が大幅に向上しています。

例えばオンラインでの出席管理成績管理システム、さらには児童生徒や保護者とのコミュニケーションツールの利用などがあげられます。
これらのデジタルソリューションにより、教職員の時間が節約され、より質の高い教育に集中できるようになりました。

セキュリティ対策を強化し、安心して利用できる環境を整える例

セキュリティ対策を徹底し、安全なデジタル学習環境を構築した学校事例も注目に値します。

強固なパスワードポリシー、エンドポイント保護、定期的なセキュリティトレーニングを実施することで、児童生徒と教職員のデータを保護し、教育機関全体の信頼性を高めています。

遠隔授業やオンライン学習支援を成功させる例

新型コロナウイルスの流行に伴い、遠隔授業やオンライン学習が急速に普及しました。

このような状況の中で、デジタルツールとオンラインプラットフォームを効果的に活用し、児童生徒に連続的な学習機会を提供した学校は、その柔軟性と革新性で高い評価を受けています。

こうした際に、校務支援システムは遠隔であっても出欠管理やコミュニケーションを円滑に行うことに役立ちます。
これらの取り組みは、未来の教育が直面するであろう課題に対する貴重な学び方の例を提供しています。

私の経験でも、デジタルドリルや教材を導入したことで学習者の学び方が大きく変わった事例があります。
校務DXが進むことで、決められた時間や場所だけでなく、もっと自由に、仲間と共に学び合える学習機会が増えることは間違いありません。

DX推進のための課題と解決策

教職員のデジタルスキル向上への取り組み

校務DXを進めるためには、教職員のデジタルスキルの向上が不可欠です。

継続的な研修プログラムやワークショップの実施は、教職員が最新のデジタルツールを効果的に使用できるようにするために大切です。

予算やリソースを確保する方法

校務DXを推進するには十分な予算と人的リソースの確保が不可欠です。

国や自治体の補助金を活用したり、民間企業との連携による支援を得たりすることも有効でしょう。

また、プロジェクトの優先順位を明確にし長期的な計画を立てることで、限られたリソースを有効に活用できます。

政府は校務DX推進のため地方自治体への支援策も講じており、これらを積極的に活用することが重要です。

学校文化や体制の変革への対応策

校務DX導入時には、学校内の文化や慣行の変革が避けられません。

教職員や児童生徒、保護者、地域社会といった関係者に対し、DXの目的やメリットを丁寧に説明し、ビジョンを共有することが大切です。

オープンなコミュニケーションを通じて不安や抵抗を解消し、関係者全員の理解と協力を得る取り組みが求められます。

保護者や地域社会との連携強化

校務DXの成功には、学校外部のステークホルダーである保護者や地域社会との協力も欠かせません。

例えば保護者向け説明会を開いて校務DXの目的や利点を共有したり、地域のイベントで学校のDXの取組を発信したりすることで、地域ぐるみで支援する体制を築くことができます。
こうした外部との連携により、校務DXへの理解と支持が広がり、教育の質向上を目指す取り組みを持続的に推進することができます。

今挙がったような課題に対して具体的な解決策が示されていることは、校務DX推進における大きな強みになりますね。
例えば先生方向けの分かりやすいFAQなどが整備されれば、導入への心理的ハードルも下がり、実際の運用イメージも明確になります。

まとめ

従来のアナログな校務をデジタル化することで、教職員の事務作業にかかる時間と労力を大幅に削減し、迅速で正確な情報共有を実現できます。
こうした校務DXの取組は、教職員の働き方改革と児童生徒への教育サービス向上の双方に効果をもたらします。

教育界のDXを推進する上で、「校務支援システム」の導入・活用は欠かせません。

ただしその実現には、教職員のICTスキル向上、十分な予算・リソースの確保、そして学校内の意識改革が不可欠です。
国も校務DXのチェックリストの公表や自治体支援策を講じており、これらを活用しながら段階的に校務DXを推進することが求められています。

学校現場の諸課題を解決し、教育の質を高めていくために校務DXの推進は必要不可欠です。

政府は校務DXを「個別最適な学び」と「協働的な学び」を支える基盤と位置付けており、令和8年度(2026年)までに全自治体が次世代型の校務支援システム導入計画を策定し、令和11年度(2029年)までに導入完了させるというKPIも示されています。

今後ますます校務DXの推進が重要となっていくでしょう。

著者紹介
ジョー先生 教員

元公立校教員で、ICT担当としての教員歴10年以上。自治体の教育研究会の情報教育部にも所属。校務支援システムは30個以上を現場で比較検討経験あり。教育関連書籍の執筆・出版経験あり